48 2017.1月号エコヨムより

2017年06月29日

新年あけましておめでとうございます。

今年もエコらすを、どうぞよろしくお願い致します。

さて、先日石内の「とんど」を見に行ってきました。

久しぶりに見ましたが、迫力があって良いですね!

天へ燃え上がる炎、竜のごとく舞い踊る煙、勢いよく弾ける竹の音。

周りを駆け回る子供たち、竹酒を片手に笑いあう男たち、それを優しく見守る女性陣。

すべてが一体となり、幸福に満ち溢れた空間。あの臨場感は、僕の拙い文章では表現

できません。

あらためて、こういう伝統行事の大切さを思い知らされた気がしました。

今、僕の地区では「とんど」が廃止されています。

もう、20年くらい前になるでしょうか。

毎年開催されていた河原の近くに、大型マンションが建ちました。

そこの住民の方たちから、とんどの煙や塵が飛んできて迷惑だと苦情があり、中止と なりました。

非常にさみしいことでしたが、ずっと昔からここにいる地元住民よりも、後から入って来た人達の意見のほうが強いようで、

その後「とんど」が行われることは二度とありませんでした。

さらに、僕には理解できないのですが、町内会に入らない人や、子供会に入らない人

が増え、今では子供がいるにもかかわらず、子供会はありません。それどころか、

町内会自体も存続が危ぶまれている状況です。

このまま、各々がプライバシーやプライベートな時間を優先して、横のつながりを希薄なものにしていけば、

おそらく日本古来の文化や伝統は近いうちに途絶えてしまうでしょう。

別にそれでも良いと言う人も、なかにはおられるでしょう。

けれども、僕は「絶対に失くしてはいけないもの」ではないかと考えています。

それは、今回石内地区で僕自身が、肌で感じたことだからです。

ご存知の方も多いと思いますが、「とんど」はそのイベント自体よりも、準備作業や

後片付けが大変です。

前日から、山で竹を切り出し、現場まで運ばなければなりません。

切ったばかりの竹は水をたくさん含んでおり、大変重たいのですが、それを何本も

運ばなければなりません。さらに、それを現地でバランスよく組んで立てるのですが、

これもまた大変な作業です。間違った組み方をすると「とんど」が燃えている最中に

倒れてくることもあるため、とても危険です。ゆえに絶対にそのような事故が起きぬ

よう、慎重に組まなくてはならないからです。

後片付けも同様に、地味ですが大変な作業です。火が完全に消えたあとも、風などで

再び燃えたりしないように、ずっと見守らなければなりません。もちろん、清掃作業も必要です。

これらの重労働を、町内会で楽しいイベントにするには、無償で裏方を引き受ける方

たちの見えない努力があります。

そこには、「誰かがやらなければならない」という使命感や「みんなの笑顔が見たい」という熱い想いが秘められています。

そして、ちゃんとそれをわかって支援、協力する人たちの輪があります。これが、町内会の本来の形だと思いました。

また、それらの作業をみんなで協力して行うことによって連帯感が生まれ、そして

各作業が完了するたびに、皆が等しく達成感を得られます。

一つのイベントを通して、町内が一つにまとまる。これこそが、伝統行事がもつ最も

重要な意義なのではないでしょうか。

今の日本は、効率やプライバシーばかりを重視して、もっと大切な精神を忘れている

気がします。

このままでは、心の貧しい国になっていくのではないでしょうか。

いま、僕たちが本当にすべきことは何なのか?どこに優先順位をおくのが正しいのか?

それをもう一度考えさせてくれる、たいへん有意義な石内の「とんど」でした。

 

                                                        

                                         

                     代表取締役社長  岡本 英之 (2017.1月号エコヨムより)