社長のひとりごと33

社長のひとりごとVol. 33「人から必要とされること」

まず初めに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
今後も微力ながら、僕なりの復旧復興をお手伝いしたく存じます。

先日、被災されたお宅の土砂の撤去作業と宅内の清掃作業のお手伝いに行ってきました。
そこで感じたことを徒然なるままに綴っていこうと思います。
最初に感じたのは、ピリピリとした現場の緊張感でした。
自衛隊員や消防署員、警察官たちが、大勢いて現場を仕切っていました。
犯罪が多発していることもあってか、かなり険悪なムードでした。
それとは、対照的にボランティア活動に参加している、一般参加者の方々は、けっこう明るく楽しい雰囲気で、
休憩中にはみんなでフェイスブック用の記念撮影をしたりして、まるで他人事のように感じました。
まぁ、作業自体を楽しみながらするのは、決して悪くないし、無理に気の毒そうな
表情をつくる必要もないのですが、なんだか違和感を覚えたのでした。
また、強引に補修工事を取ろうとする、インチキくさい業者や、チャンスとばかりに
作業服で家の周りを徘徊している、怪しい輩がけっこういて、同業者として腹が立ち ました。
その他にも「俺たちは、ずっとここにいるんだぜ。新参者は俺たちに従え」的な態度で仕切りたがる、めんどくさい自称ボランティアの連中もいたり、
「被災した 動物達のための義援金を集めています。ご協力お願いします。」って方々もいたりして、名前を見ると「動物愛護団体エンジェルズ」(※)とあり、
「これってもしや・・・」と思ったり、いろいろ複雑な気分になりました。
※何年か前に湯来町で、かの「ドッグぱーく」閉園後に放置された犬を救うとして、
  集まった義援金6000万円を持ってトンズラ。ほかにも恐喝未遂、傷害事件等を
  起こして社会問題となった、その団体名が「アークエンジェルズ」だったのです。
  そして、調べてみると案の定、「エンジェルズ」と改名して、福島などの
  被災地で似たようなことを繰り返してるようです。

とまぁ、こんな感じで嫌なところが目に付きました。と同時に、そんな風に悪いところばかりを見てしまう自分が嫌になりました。
本気で、被災した方々を手助けしたい人達も沢山いて、必死で救出作業をしている人達も大勢いるのに・・・。何より、もっとシンプルに考えればいいのに・・・。
被災した方々がいて、その人達のために、ただ単純に僕ができることをしに来ただけ。そんなふうに考えればいいのに。そもそも、そのために来たんじゃなかったっけ?
いろいろと考えながら、悶々とした1日が終わろうとしていました。
けれども、作業が終わり、帰り際に施主さんから「今日は、ほんとにありがとう。
みなさんが手伝ってくれたおかげで、ほんまに片付いたわ。ほんとに助かりました。」と言われ、その一言で霧がサーッと晴れたような気持ちになりました。
そうか。他人から必要とされたなら、こんなに嬉しいことはない。だから、来たんだ。
人は、必ず誰かの役に立ちたいと思ってる。喜んでほしいと思ってる。それは、誰かに教わるものではなく、人が本来、生まれ持つ感覚。人から必要とされることが、一番
幸せなことだって、みんな知ってるからなんだ、と。
とても大切なことを教えてくださった、被災地の方に感謝です。
 代表取締役社長  岡本 英之 (2014.9月号エコヨムより)