社長のひとりごと029

社長のひとりごとVol.29「心の豊かさを求めて」

毎日のように、大手デパートや有名ホテル、レストラン等の食品虚偽表示発覚のニュースが相次いで報道されます。
「またか・・・」かつての牛肉偽装事件を思い出しました。
あの時も、雪印を発端として日本食品、日本ハム、西友、ハンナンと次々と偽装が発覚しました。
一流企業が平気で嘘をついて、国民を欺く。デジャブ?あの時のまんまですね。
今回もトップの人間は、謝罪会見で「認識が足りなかった。」「チェックが甘かった」などとまたまた平気で嘘をつきます。
東京電力の汚染水漏えい問題についても同じことです。国民を欺いて、隠蔽を画策する。
目の前の利益のみ優先し、「バレないだろう」と平然と我々を騙す。
なぜ、一流企業で働くいわゆるエリートたちが、次々と嘘をつくのか?
それは、今の日本人に「嘘をついてはいけない」「正直に生きる」といった道徳心が失われつつあるからではないでしょうか?
子供の時に、こういった道徳を教えられていない人は、大人になってもロクな人間にならないと僕は思います。まあ、僕自身ロクな大人じゃないですが(^_^;)
とはいえ、母は道徳にうるさい人だったので、厳しく躾けられた記憶があります。
テストの点数が悪くて叱られたことはありませんが、嘘をついたときは、そりゃあひどく叱られたもんです。庭のもみの木に一晩中縛り付けられたこともあります。
今の母親は、逆じゃないかな。
子供の嘘について叱るよりも、一流大学に進学するため良い成績をとらせることを優先し、まっすぐで正直な人間に育てることよりも、高収入を得られる一流企業に就職させることのほうが大事。
優先順位を大きく間違った教育をしてるんじゃないでしょうか。
子どもたちは、ホントの意味での教育をされていないような気がします。
仏教では五戒の一つに「不妄語戒」という言葉があります。妄語とは嘘のことです。
つまり、嘘をついてはいけない。
モーセの十戒にも「隣人に関して偽証してはならない」とあります。
儒教では「巧言令色鮮し仁」(こうげんれいしょく、すくなしじん)と論語にあります。
口がうまくて愛想のいい人間に、誠実な人間はほとんどいないよ、といったような意味ですね。
とにかく、ありとあらゆる宗教で「嘘をついてはいけない」と説いているわけです。
にもかかわらず、今の日本は政治・経済、各メディアに至るまで何から何まで嘘八百。
僕はもう、物質至上主義、便利至上主義にもウンザリだし、これ以上の経済成長は必要ないと思います。それよりも内面。人に対する、優しさ、誠実さ、思いやり、愛情。
これからは、生活の豊かさよりも心の豊かさを求めて、子供たちにそういう教育をしてほしいと切に願う今日この頃です。
                       代表取締役社長  岡本 英之 (2013.12月号エコヨムより)
※本コラムは、11月中旬に書かれたものです。
  発行が遅れましたこと、お詫び申し上げます。