社長のひとりごと027

社長のひとりごとVol.27「ボクはヒーロー?」

先日、新幹線に乗っていたときのことです。
泣いている赤ちゃんをあやしている女性に「うるさい!!寝れん!」と怒鳴っている
男性がいました。
女性は、すぐにその男性に謝って、赤ちゃんを抱いてトイレの方へ出て行かれました。
僕は、頭にきて「おいおい、アンタ。なんだそりゃ?新幹線は、ホテルじゃねーぞ。」
と言いたかったのですが、それも大人げないので「赤ちゃんだから仕方ないですよ。
大目に見てあげましょう」と言いました。
すると、その人は「いやいや。みんなを代表してわしが言うたったんで」とかなり強気。
僕も負けじと「みんな赤ちゃんの時は、周りに迷惑をかけたはず。それに、公共の乗物なんだし、お互いさまということで」と、ひきつった笑顔で言うと、
「公共の乗物だからこそ静かにせんといかんのやろ」と、これまたご立派な返し。
さらに「そのために*多目的室ゆうもんが、新幹線にはあるんとちゃうか?」と、
たたみかける一言。
「多目的室?なんですか?それは?」と問う僕に、今度はまったく関係ない若者から「お前が一番うるさいし」ボソッと、しかしキツイ一撃。
ふと周りを見ると皆、白い目で僕を凝視。当車内、ただいま完全にアウェイ状態。
悔しいがこれまで。僕は沈黙し座席につきました。
その後の広島までの道程が、こんなに長いと感じたことはなかった・・・。
が、僕は負けたんじゃありません。これ以上言っても無駄と思ったから止めただけです。
僕は、幼い頃ヒーローに憧れていました。
弱きを助け、強気を挫く。そういう人になりたかった。
今の僕を見たら、あの頃の僕はなんて言うだろう?
「だらしないなあー。あんな奴らやっつけちゃえよ」と言うかもしれない。
たしかにドラマみたいに「やられたらやり返す!倍返しだ!!」とはいかなかったなぁ。
けれども、弱い人を守りたいという気持ちは今もある!あの頃となんら変わりない!!
僕はあの母子を守れなかったし、怒鳴った人を成敗もできなかった。
けれども、見て見ぬフリはしなかった。
自分の信念のもとに行動し、決してそれを後悔していない。
誰かに褒められたい訳じゃないし、結果も求めていない。
自分が誇らしくあるため、自分が正しいと思うことを一言物申した。それだけです。
けれども、他人には「独り善がりな正義感を振りかざす目障りな勘違い男」と見られたのかもしれませんね。
世の中、いろんな考えの人がいますから、意見を押し付けることは難しい。
ただ、みんながもう少しだけ他人にやさしくできれば、他人の意見に耳を傾けようと
努力すれば、世界はもっと住みやすく楽しくなるんじゃないかな。
*多目的室とは、体の不自由な人や、気分が悪くなった人のため、または
赤ちゃんの授乳、おむつ交換などに利用できる個室だそうです。
知らんかった(-_-;)
                      
                       代表取締役社長  岡本 英之(2013.9月号エコヨムより)